7月10日期限の給与計算事務について

給与計算事務を行う者にとって、6月は7月10日の期限にむけて、一度に給与の集計作業が集中する特に忙しい時期です。7月10日に期限を迎える集計作業には、労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届、源泉所得税の納期の特例があります。なお今年度は、7月10日が日曜日であるためいずれの期限も7月11日(月曜日)までとなっています。

労働保険の年度更新とは、年に一度、前年度(前年4月1日から当年3月31日まで)に支払いが確定した賃金の額を集計して、保険料の申告と納付を行う手続きです。この申告と納付は、原則として6月1日から7月10日までに行うことになります。

社会保険の算定基礎届とは、実際に支払われる給与の額と現在の標準報酬月額に差が生じないようにするため、毎年7月1日現在に使用する健康保険・厚生年金保険の被保険者のその年4月から6月に実際に支払った報酬を7月1日から7月10日までに届け出るものです。原則としてこの3ヶ月の報酬の月平均額を基に決定される新たな標準報酬月額を、9月分から翌年8月分まで適用することになります。なお賞与については、支給日から5日以内に賞与支払届および賞与支払届総括表を提出する必要がありますが、一般的な賞与の支給時期が6月又は7月であるため、こちらの作業も同時に必要となることがあります。

源泉所得税の納期の特例とは、給与の支給人員が常時10人未満である場合において、組合などの源泉徴収義務者が税務署に申請することで、給与・賞与・退職手当、税理士等の報酬・料金などの源泉所得税を毎月ではなく6ヶ月に一度にまとめて納付することが認められるものです。1月から6月までの半年の間に支払われた報酬・料金に係る源泉所得税の納期限も7月10日となっています。

これらの制度は、いずれも原則7月10日が期限となっていますが、同時に作業を進める上で、対象となる給与の範囲などが異なる部分もあるので注意が必要です。それぞれの制度での集計時のポイントを、下記にまとめましたので参考にしてください。

7月10日が期限の制度

集計時の主なポイント

直近の改正事項

労働保険の年度更新

・役員報酬を含めない
・賃金締切日を基準に集計
・4月1日現在満64歳以上は雇用保険料の免除対象
・交通費・残業代・賞与等を含む概ねすべてを集計
平成28年度の雇用保険料率で、労働者負担分が1/1000、事業主負担分が1.0/1000引き下げられ、雇用保険二事業の保険料率(事業主負担分のみ)が0.5/1000引き下げられました。

社会保険の算定基礎届

・役員報酬を含める
・賃金支払日を基準に集計
・交通費や残業代等を含め、年3回以下の賞与(標準賞与額の対象)は除き集計
・支払基礎日数が17日未満の月は除外するなどして記載
平成28年4月から健康保険の標準報酬月額に第48級、第49級、第50級の3つが追加され上限が139万円となり、標準賞与額も年度単位累計の上限が573万円へ引き上げられました。ただし厚生年金保険の標準報酬月額の上限に変更はありません。

源泉所得税の納期の特例

・役員報酬を含める
・給与支払日を基準に集計
・税理士等の報酬・料金なども対象
平成28年1月1日以後支払いの通勤費の非課税限度額が月額15万円に引き上げられました。